Q
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いろいろな症状が出るのですね。
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A
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そうですね。レントゲン写真を撮っても特に異常がでるわけでもなく、また、一般的な血液検査でも特有な所見が出るわけでもないので、結局、なかなか診断がつかず、悶々とされている患者さんも少なくありません。
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Q
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血液検査でもわからないのですか?
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A
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たとえば、膠原病であれば、血液検査をすれば、それぞれ特有な異常な反応がでます。
また、関節リウマチであれば、いわゆるリウマチ反応がでることが多いですし、最近ではより正確は検査もあり、リウマチを診断する
大きな助けになっています。今、述べている
リウマチ性多発筋痛症では、基本的にリウマチ反応は出ません。ほかの膠原病でみられるような異常な反応もでることはありません。
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Q
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ではどのように診断するのですか。
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A
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炎症反応という検査が、ある程度決め手になります。炎症反応というのは、血液検査の、CRPとか赤沈という項目です。このCRPとか赤沈というのは、ほかの一般的炎症、つまり感染症ですね、たとえば、風邪や気管支炎、膀胱炎といった感染症でも高い反応を示します。リウマチ性多発筋痛症では、こうしたCRPとか赤沈の値が持続的に高いことが、診断の有力な決め手となります。
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Q
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さて、それではリウマチ性多発筋痛症の治療ということになりますが、どのように治療するのでしょうか?
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A
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副腎ステロイド剤のプレドニンという薬剤がよく効きます。これは、膠原病でよく使われる薬剤ですが、そんなにたくさんの量をつかわなくても、よく効きます。人にもよりますが、だいたい1週間ないし2週間ぐらいで、症状は半分以下、場合によってはほぼ消失することもあります。ただ、先ほど述べた
血液検査のCRPとか赤値といった、炎症反応が正常化するのには時間がかります。
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Q
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関節リウマチのように病気が進行していくということはないのでしょうか?
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A
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基本的にはありません。正しく診断し、プレドニンという薬を正しく服用すれば、多くは完治する病気です。その意味では、膠原病のなかでも、軽症というのは正しい言い方ではありませんが、まあ、たちのいい病気と言っていいかもしれません。ただ、プレドニンを服用すると、劇的に症状が改善することは、前に述べたとおりですが、CRPや赤沈といった炎症反応の正常化には時間がかかりますので、症状がなくなったからといって、急に薬を中断したり、急に薬を減らしたりすると、病気は再発し、また筋肉の痛みがでてきます。ですから、プレドニンは、症状が出てこないか、CRPや赤沈がきちんと下がっているかを、きちんとその都度確認しながら、少しずつ減らしていくことが必要となります。これには多少のコツとレシピが必要となります。患者さんの測からすれば、CRPや赤沈に異常があるうちは、症状がとれても、まだ病気が残っていると考えていただいて、根気よく治療を継続していただくことが肝心です。
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Q
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わかりました。よくはなるけれども、少し長期戦になる覚悟が必要ということですね。
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A
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その通りです。今日お話ししたリウマチ性多発筋痛症は、やや馴染みの薄い病気ですので、簡単にまとめをしておきましょう。まず、この病気の特徴として、60歳以上の高齢者に多い、ということ、始まりが急激で2週間ぐらいで症状が完成すること、その症状はこわばり、また、両側の背中や肩、腕、大腿部つまり太ももの筋肉などの痛み、それから痛み以外に、体重減少や、だるさ、うつ状態などの全身症状を伴うことが多いこと、レントゲン写真や特別の検査の異常は認められず、CRPや赤沈といった炎症反応が高くでること、治療としてプレドニンという薬がよく効き、完治することがおおいこと、ただ、そのためには根気よく治療を継続すること、以上の点がこの病気の特徴ということになります。
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Q
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最後になりましたが、この病気かな?と疑ったら、何かの病院に行けばいいのでしょうか。
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A
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専門のリウマチ科、あるいは内科、整形外科などで相談されるのがよいと思います。
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